日本テレビの情報番組「スッキリ」で3日連続して放送中の不妊治療特集。
本日は最終日でした。
今回のテーマは『不妊治療をやめる時』
不妊治療経験のある有名人お二人を取材し、治療をやめた経緯とその後の生活に焦点をあてた内容でした。
一人目は元バトミントン選手でニュースキャスターの陣内貴美子さん。
37才で結婚され、39才から不妊治療を開始。
タイミング療法を行うも着床せず。
3年経った時点で子宮内膜症があるとわかり、同時に卵管がねじれていることが判明。
そこから高度不妊治療を開始。
結局授からず、旦那さんの助言もあり、45才の誕生日を区切りに治療をやめられました。
当時は今ほど不妊治療が世の中に知られておらず、ごく一部の人にしか打ち明けられなかったこと。
治療が成功せず生理が来た日に、知り合いから「早く子供を作れよ」と言われて傷ついたこと。
長年にわたり、周りとも自分とも戦いながら治療されていたご様子が目に浮かびました。
かっこよくて爽やかな笑顔が印象的な陣内さん。
過去にはこんな苦労をされていたんですね。
もう10年も前のことなのに、涙をこらえながら話す様子を見て、感極まってしまいました。
今は優しい旦那さんと二人で幸せに暮らしているそうで、親戚や友人の子供たちの成長を我が子のように楽しんでいるとのこと。
でも、父の日や母の日などふとした瞬間に、自分たちには子供がいないんだ…と寂しく感じてしまうそうです。
その感情はきっとこれからも続き、その度に向き合っていかなければいけないんだろうな、と思いました。
二人目はタレントの武内由紀子さん。
特別養子縁組で授かった1才の息子さんがいます。
40才で結婚後、すぐに不妊治療を始めたものの、なかなか授からず。
4年間で3回着床したけれど、すべて途中で止まってしまったとのこと。
「これで最後にしよう」と決めて臨んだ体外受精で、良い受精卵ができたにも関わらず、妊娠判定は陰性。
その瞬間、スパッと諦めがついたそうです。
でも、治療は諦めても子供は諦められない…。
そんな思いから、すぐに『特別養子縁組』を調べ出したとのこと。
特別養子縁組について
⚫︎団体によって親の年齢制限あり。だいたい子供との年齢差が45才前後。(子供が社会に出るまで体力的、経済的に育てられるかが基準)
⚫︎団体との面接、研修がある
⚫︎赤ちゃんの性別や病気の有無、生まれた環境などが選べない。(紹介された子を断ることは可能)
⚫︎出産や手続きにかかる費用は養子を授かる親が負担
⚫︎名前をつけるのが誰かは団体によって異なる
⚫︎真実告知=「産んでくれたお母さんが別にいること」を、できるだけ早い段階で伝えなければいけない。
(義務ではないが、あっせん団体が勧めている)
武内さんはその時44才。
登録できたのは2団体のみで、半年後にようやく連絡あり。
産まれたばかりの赤ちゃんとご夫婦が対面された場面は感動的でした。
その後も、VTRに映るご夫婦とお子さんは、とても血縁関係が無いとは思えないほど仲が良く、幸せそうに見えました。
お子さんが父や母に向かって無邪気に笑う様子は、本当に微笑ましかったです。
世の中には、自分が産んだ子を自ら死なせてしまう親もいるのに…と、血縁以上に大切なものを感じました。
特別養子縁組をした場合、子供への告知や将来の不安など、乗り越えなければいけない壁は多いようです。
それでも武内さんのご夫婦のように強い意志を持ち、子供に愛情を注げるご夫婦なら、きっと乗り越えていかれるでしょう。
まだまだ世間に浸透していない特別養子縁組。
制度の内容をよく知らずに踏み切れない人や、実際に養子縁組したけれど周りの理解が得られない人のためにも、武内さんの公表により情報や理解が広まるといいなと思いました。
不妊治療は『出口の見えないトンネル』と表現されるように、続けていればいつか叶うというものではありません。
また、努力した分の成果が実るわけでもありません。
“身体も心も疲れ果てた。どこかで終わりにしたい。”
そう悩んでる人も多いはず。
その場合、陣内さんのように「◯才の誕生日になったらやめよう」とか、武内さんのように「次の治療で最後にしよう」とか、区切りを決めることが大切な気がします。
私たち夫婦は、年齢ではなく、「今凍結している卵がすべて無くなったら一旦やめよう。」と決めていました。
何より大切なのは、どういう決断をするにしても、『夫婦で話し合い納得できたかどうか』ということ。
今回のお二人は、治療をやめることを夫婦で納得したからこそ、今幸せに暮らしておられるのだと感じました。
3日間の特集は、現在治療している人や治療をやめた人にとって、共感できる部分も多く、励みになったのではないでしょうか。
それ以上に、治療と縁のない大勢の方へ
『不妊治療とはどういうものか』
『続けることがどれだけ大変か』
『子供を授からないことがどれだけ辛いことか』
少しでも広く伝わりますように…。
今回の放送で、勇気を出して自らの経験を語り、世間に情報を発信してくれた陣内さんと武内さんに、心から敬意を表します。