*ひだまり妊活日記*

*ひだまり妊活日記*

不妊症&不育症治療と8度の流産を乗り越えた七転八起な日々の記録

憧れの女性

 

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私が今の会社に採用された時、面接してくれたのは人事部の部長でした。

不妊治療をしているため、急な早退や欠勤が出ることを理解していただいた上で、採用してくれたのです。


ただ、実際に一緒に働くのは、その部長ではありません。

女性スタッフが多い職種なだけに、そこは慎重になりたいところ。

直属の上司に休みを申請しづらかったり、同僚にいちいち嫌な顔をされたりしてストレスが溜まるようでは、本末転倒です。

面接に同行してくれた仲介会社の方を通して、実際に一緒に働く方の意見も聞いてみてほしいと伝えました。


後日、「スタッフたちも承知しています」というありがたい返答をいただいたのですが、出勤日を迎えるまでは心配でたまりませんでした。

 

*この職場に出会うまでの経緯はこちらの記事をご覧ください↓↓↓

 


一緒に働くのは自分も含めて女性5人。

その中で、自分と同じ資格を持ち、一番身近で働くことになったのが2つ年上の上司Aさん。(職場の責任者のような立場)

私が働く一ヶ月前に入社されたそうです。

面接の際には挨拶程度で終わったので、私の治療についてどう思われているのか気になっていました。


話してみると、サバサバした方で、よくしゃべり、よく笑う人。

明るく元気でとても好印象でした。

なんと、双子の男の子のママだそう。

妙に納得!!

男の子を2人同時に育てるには、これぐらいのパワーが必要なのかも!笑


初日から色々な話をしているうちに、私の不妊治療の話題になりました。

これまでの治療や流産のこと。

今後の通院のこと。

面接でひと通り話した内容を、再び包み隠さず打ち明けました。

「急にお休みをいただいたりすると思うので、ご迷惑をおかけします。」と伝えると、

「大丈夫だよ!それが条件で入社したんでしょ?!だったら遠慮なく休みなよ。」

「女性って色々大変だよね。これまでも仕事頑張ってきたんだから、今は治療を優先しないと!そのために早く帰れるパートを選んだんだしね。」

「私も子供が体壊したら休んだりするし、お互い様だね!」


一言一言に感動しました。

治療を優先すると割り切って入社したのに、今後迷惑をかけると思うとすぐに自分を卑下してしまう弱い私。

そんな私に対して全く動じることなく、ひとりの女性の生き方として受け止めてくれたのです。

 


実際に働いてみて、Aさんとはとても気が合いました。

私はもともと男性っぽいところがあるようで(←夫や友人に言われる)、女性特有の「誰かと一緒じゃないとできない」とか「話に入れてもらえないと不満」とか、そういう感覚があまりありません。

そういうところが、サバサバしたAさんと性格的に合ったのかもしれません。

 

Aさんは上司ですが、細かく指示を出すことはなく、私たちと対等な立場で一緒に仕事を進めていくタイプ。

そのため、時には私に意見を求めてくれたり、私から提案したりしました。

治療のことがコンプレックスで、以前は自信を持って働けなかった私が、Aさんのお陰で少しずつ変わることができました。

 


Aさんは時々、自分の子供の話をしたり、自分の妊娠や出産の話も聞かせてくれました。

もちろん自慢ではなく、等身大の自分をさらけ出してくれたのです。

そして、経験者ですら理解しづらい高度不妊治療の内容や具体的な体調変化も、詳しく知ろうとしてくれました。

採卵や移植のたびに報告していましたが、「今はどんな状態?辛かったら無理しないでよー。」と、声をかけてくれました。


私が双子を妊娠した時は、自分と同じだと驚き感動して、涙を流し…。

流産になった時は、何も聞かずに私の気持ちに寄り添い、フォローしながら仕事をしてくれました。

 

Aさん自身、体調が悪かったり、子育てで疲れている日だってあるはずなのに…。

私が治療している期間は負担をかけまいと、絶対に弱音を吐きませんでした。

 

 

 

もし私がAさんの立場だったら、同じようにできただろうか…。


きっとできません。


不妊治療という、自分にとって未知な世界で奮闘しているスタッフに対して、できることといえば…。

せいぜい体調を気遣ったり、妊娠の話題に触れないようにすることぐらい。

むしろ、とてつもなく忙しい日に急に休まれたら困ってしまうかもしれません。

 

 

しかしAさんは、常に私のことを自分自身のことのように考えてくれていました。

だからこそ、ここまで一緒に頑張って戦ってくれたのだと思います。


また、他人の痛みや悩みを理解し、心で感じることができる人でもあります。

明るくサバサバした様子からは考えられないけれど、Aさん自身、人と会いたくなかったり心が暗くなっていた時期もあるそうです。

ご自身が辛い経験をされている分、同じような立場の人に心から寄り添うことができるのだと感じました。

 

 


入社して一年半頃、私は無事に妊娠しました。

しかし切迫早産と診断され休職することになり、もうすぐ3ヶ月が経ちます。

仕事の負担を背負いながらも、Aさんはたまに「体調はどう?」とメールをくれます。


休日には、買い物に出られない私のために、お古のベビー用品や購入した赤ちゃんのおしりふきなどを届けに来てくれました。

 

今月から、私の代わりに新しいスタッフが採用されたようですが、「育休開けたらまた一緒に働こう!人数が多くなっても大丈夫。上には私から掛け合うからさ!」と、なんとも心強いメッセージが。

 

 

たまたま条件が合って入社したこの職場で、こんなに素晴らしい人と出会えるとは思ってもみませんでした。

私にとってAさんは、上司でもあり、家族でもあり、憧れの存在でもあり…心強い味方です。

 

 

無事に出産したら、誰より早く赤ちゃんに会ってほしい。

そして、また一緒に働き、いつか恩返しができたらなぁと思っています。

 

 

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