夫の父は農業をやっています。
もともと農家なわけではなく、会社を定年退職したあと、農業学校に通って勉強したと聞いています。
夫の実家の近くには大きな畑があり、驚くほどの種類の野菜が毎年収穫されます。
特に夏野菜は、みずみずしくて張りがあって、どれも絶品です!
なす、きゅうり、ズッキーニ、トマト、ピーマン、オクラ、とうもろこし…
毎年我が家にも届く新鮮な野菜たち。
色鮮やかで、視覚でも楽しめます。
料理がさほど得意ではない私も、この野菜が届くと「どんな風に料理しよう🎵」と心が弾みます。
野菜って、スーパーや八百屋で簡単に安く買えるけれど、実はそこに並ぶまでにたくさんの努力と時間が費やされています。
素人の私が知るだけでも、土作りから植え付け、除草や害虫対策に収穫。
さらには毎日欠かさず行う水やり、収穫した野菜の出荷準備…。
そうした工程を経て、数ヶ月かけてやっと一種類の野菜が収穫されるのです。
農業は会社とは違い、お休みもありません。
真夏の猛暑の日も、大雨の日も、
腰が痛い日も、気分が乗らない日も、
休むわけにはいかないのです。
想像しただけでも大変です。
毎年GWには私たち夫婦も畑に行き、お義父さんのお手伝いをさせてもらうのですが、数時間滞在しても苗植えと収穫が少し進むだけ。
どうやってこんなにたくさんの種類を一人で育てているのかと、いつも驚きます。
でも、「会社員の頃と比べてお義父さんは楽しそう」と夫は言います。
自分の手で一から野菜を育てること。
それを食べた人が、“美味しい”と感じて笑顔になること。
きっとそこに畑仕事の醍醐味があり、やりがいや感動が生まれるからこそ、毎日がんばって続けられるのだと思います。
“野菜作りって、子育てに似てる気がする。”
ふとそう感じたことがあります。
毎日絶やさず愛情をたっぷり注ぎ、
時には思い通りにいかなくて頭を悩ませ、
成長を見た時には感動させられる。
まだ子育てを経験したことがない私がそう感じたのは、きっとお義父さんの姿を見ていたから。
去年の初夏、夫から
「ベランダで野菜を育ててみない?」
と突然の提案。
夫も私と同じように感じていたのかと驚きました。
なかなか治療が成功せず、変わりばえのない夫婦ふたりの生活に、変化をつけようと考えてくれたのかもしれません。
すぐに苗を買いに行きましたが、時期が遅くて、育てられそうなのは秋なすときゅうりだけ。
お店の人に必要なものを聞いて買い揃え、その日から野菜作りをスタート。
ベランダの陽が当たる場所に置き、毎日欠かさず水やりをしましたが、ある時葉っぱに変な模様が…!!
必死で調べ、お義父さんやお店の人に聞き、病気や虫対策を行いました。
結果、収穫できたのは…
なすもきゅうりも2、3個だけ。
『野菜を育てる』というのがどれだけ大変か、身をもって実感。
それでも、夫とふたりで野菜の成長を楽しむ過程は、本当に楽しかったです。
「大きくなってるね~!」
ベランダを見るたびに、そう口にする夫。
細い目がさらに細くなり、自然と浮かぶ柔らかい笑顔。
“きっといいパパになるんだろうな。”
夫との子供がほしいという気持ちが、より一層強まりました。
治療は辛いけれど、まだまだがんばろう!
そう感じた夏の終わりのひとときでした。