流産の手術を行ったため、治療は一周期おやすみしていました。
手術から一ヶ月後の土曜日。
手術後に行った胎児の染色体検査と夫婦の染色体検査の結果を聞くために二人で受診しました。
胎児の検査結果も気になりましたが…
私たちは夫婦の検査結果を聞くことに、極度の緊張感を持っていました。
前回の記事にも書きましたが、先生からは、
「以前の流産で胎児の検査をした時に異常がなかったことや、毎回流産となる週数が比較的進んでいることから、夫婦の染色体検査は陰性の可能性が高い。」
と言われました。
しかし、それも可能性の話でしかありません。
もしどちらかに転座などの染色体異常があった場合は、今後の治療を続けるにあたり、大きな影響があります。
もし異常があった場合、
流産を繰り返す覚悟で治療を続けるか。
着床前診断を行なってもらえる病院に転院するか。
妊娠を諦めるか…。
そうなる覚悟をした上で、この日は結果を聞きに行ったのです。
診察室に呼ばれ、緊張しながら入ると、まず胎児の検査結果が報告されました。
『検査の結果は異常無し』
報告書を見ると、染色体はXYで男の子でした。
「今回は異常ありかと思ったんですけどね…」と先生。
流産になった時に胎児に浮腫みがあったため、そう思われたのかもしれません。
「この検査で異常無しだからといって、赤ちゃんが原因ではなかったと言いきることはできません。染色体とは関係のない、何かしらの病気だった可能性もあります。」
と付け加えられました。
もしそうだとしても、8回も流産をしている身としては、自分のせいではないとは到底思えません。
今回も心拍は確認できていたし、ある程度成長していたのだから、私の不育症が原因の可能性の方が高いはず。
心の中で赤ちゃんと夫に“ごめんね…”と呟きました。
そしてその後、別の用紙が差し出されました。
あまりにサラッと渡されて拍子抜け。
「夫婦の検査の方は、やはり異常無しですね。」
私以上に緊張していた夫が、隣でふーっと息を吐くのがわかりました。
私もほっとして肩の力が抜けました。
いったい、さっきまでの緊張感はなんだったんだろう…。
不育症の治験を受けるためには、『夫婦の染色体検査で異常が無いこと』が条件に含まれます。
これまであえて避けてきた検査に踏み切ったのは、治験を受けてみたいと思ったから。
今回の結果を聞いて、私たちの計画はまた一歩前進しました。
*治験を知ったきっかけはこちらをご覧ください↓↓↓
治験薬を投与することについて、私はあまり抵抗がありませんでした。
もともと薬の副作用が出にくい体質ということもありますが…。
今回治験を行なっている薬は、別の病気に対して既に世の中で使われているので、未知の副作用が出る確率が低いだろうと思ったからです。
(もともと別の病気に使われている薬でも、新たに不育症の適応を加えるには、製薬会社が『不育症に効く』と証明するための治験を行う必要があるのです。)
しかし夫は、治験をすることで私の身体に悪影響を及ぼすのではないかと、とても心配していました。
そこで現れた救世主が、以前記事にも書いた職場の上司Aさん。
*Aさんについて↓↓↓
なんと、Aさんの旦那さんが治験コーディネーターだったのです!
Aさんに、治験を受けたいと考えているけれど夫が心配していると相談すると、旦那さんと一緒に会う機会を設けてくれました。
Aさんの旦那さんは不育症の治験を担当しているわけではなかったし、もちろん立場的に話せる内容は限られていたと思うのですが…。
話せる範囲で治験とはどういうものかを丁寧に説明してくれました。
話を聞けたことで夫も少し安心した様子。
ひと通り話し終わったあと、その方がかけてくれた言葉が印象的でした。
「特に不妊治療や不育症治療の分野は薬の効果が実証しにくく、精神的な面での影響がとても大きい。治験を受けたことによる安心感から、薬に当たらなくてもうまくいくという可能性も充分あると思う。」
休日に時間をとって快く相談に乗っていただき、Aさんご夫婦には本当に感謝しかありません。
そして私たちは、次の移植を行うまでに、治験を行なっている都内の病院に話を聞きに行くことに決めたのです。