通院している恵愛医院で流産と宣告され、不育症の治験について紹介してもらってから、私たち夫婦はすぐに動きました。
まずは治験を行なっている都内の3病院を見学しに行きました。
病院の立地や家からの距離、院内の雰囲気を見ただけですが、今思い返しても意外と大切な行動だったなと思います。
また、Fuiku-Labo(フイクラボ)というサイトを中心にネットで情報を集めました。
そして、ある程度知識を身につけた上で、治験を行なっている病院に問い合わせました。
問い合わせたのは都内の3病院のうち2病院ですが、説明された内容はほぼ同じでした。
治験コーディネーターの方により私が治験の参加基準に当てはまるかを確認され、簡単に治験の流れを説明していただいたのです。
今回は治験コーディネーターの仕事と、免疫グロブリンの治験への参加基準についてご紹介したいと思います。
治験コーディネーター(CRC)とは
製薬会社が新薬を開発するとき、最終段階で人体への有効性と安全性を確認する「臨床試験(=治験)」の調整役。
治験をスムーズに進行させるため、製薬会社や治験を行う医療機関の医師と共に、患者さんをサポートします。
※ 株式会社クリニカルサポートHP より
CRCは医療機関の治験事務局に直接雇用されるパターンと民間企業であるSMO(治験施設支援機関)に所属して、医療機関に派遣されるパターンがありますが、仕事内容はほとんど変わりません。
CRCになるために資格は必要ありませんが、看護師や臨床検査技師、薬剤師、栄養士など、多くの人が医療系の資格を持っている傾向にあります。
治験実施計画書(プロトコル)に基づき、被験者の来院日、検査・投薬予定日などスケジュールを管理します。
被験者の来院時には医師の診察に同席し、症状の確認や服薬状況の確認、有害事象のチェックなどをおこないます。
他にも、被験者の不安や心的負担を軽減するための相談相手として、被験者に寄り添ってくれます。
原因不明の不育症に対する免疫グロブリンの臨床試験への参加基準
以下の条件を満たす方
- 原発性習慣流産の方(一度も赤ちゃんを産んだことのない方)
- 自然流産歴が4回以上の方(妊娠検査が陽性だけで終わった場合を除く)
- 不育症のリスク因子に関して次のいずれかの方
(1)リスク因子が不明の方 以下のリスク因子の検査結果について異常が見つからず流産した方
①子宮形態異常(弓状子宮はリスク因子としない)
②甲状腺異常
③夫婦染色体異常
④抗リン脂質抗体陽性
⑤第XII因子欠乏
⑥プロテインS欠乏
⑦プロテインC欠乏
(2)リスク因子が判明している方
検査の結果、以下のリスク因子が見つかり、それに対する治療をしても流産した方
①子宮形態異常(中隔子宮):手術を受けていること
②甲状腺異常:内科的治療を受けていること
③偶発的抗リン脂質抗体陽性(ただし、直近の検査が陰性)、第XⅡ因子欠乏、プロテインS欠乏、プロテインC欠乏 :アスピリンとヘパリンの併用療法を受けていること
- リスク因子の有無に関わらず、流産した赤ちゃんの染色体が正常であった回数が少なくとも1回ある方
- 同意取得時に年齢42歳未満の方
- 少なくとも治験薬点滴開始1週後の検査・評価まで入院可能な方
以下の条件に該当する方は治験を受けれません
- 不育症のリスク因子である夫婦染色体異常のある方、抗リン脂質抗体症候群および偶発的抗リン脂質抗体陽性(ただし、直近の検査が陽性)の方
- 糖尿病を合併しているか、または耐糖能異常(血糖値を正常化する能力が不充分な状態)を指摘されているにも関わらず、適切に治療を受けていない方
- 過去に不育症の治療として免疫グロブリン静注療法を受けた経験のある方
- 現在、悪性腫瘍の治療を受けている方
- 血栓塞栓症の既往のある方
- これまでに人免疫グロブリン製剤を使用して、ショックあるいは過敏症がみられたことのある方、または遺伝性果糖不耐症(生まれつき果糖を正常に代謝できない病気)を合併している方
- 過去にIgA欠損症と診断された方、あるいは登録時の検査で血清IgA値が5mg/dl未満であった方
- 過去12週間以内に他の治験薬を使用された方、または現在他の治験に参加されている方
CRCの方に、治療歴や流産歴を電話でひと通り確認していただいたところ、おそらく私はこの参加基準に適合するだろうということがわかりました。
通常の治験では、まず医療機関で医師やCRCから説明を聞き、同意書にサインをした後に参加基準に適合するかどうかの確認が行われ、問題がなければ登録される、という流れで進められます。
しかし、今回私が受ける免疫グロブリンの臨床試験は、胎嚢が確認できた後、5w6dまでに登録を行い、6w6dまでに入院して投与を開始をしなければいけないという、慌ただしいスケジュールになっています。
妊娠発覚から治験薬投与までの期間が短いため、参加基準に適合するかの確認が遅れたり、新たに検査する必要があったりすると治験に間に合わなくなる可能性があります。
(そもそも、5w6d過ぎてから胎嚢が確認できるケースもありますよね…)
また、妊娠発覚後に通院回数が増えることは、患者さん側の負担も大きくなります。
そういった点を踏まえて、この治験に限っては『参加基準事前確認のための同意書』を用いて、妊娠前に予め参加基準に適合するかを確認したり、足りない検査を行っておくという仕組みになっていました。
そうすることで、患者さんが妊娠した後スムーズに治験に参加できるように工夫されていたのです。(私が選んだ病院の場合)
私たちは問い合わせた病院のうち片方を選び、対応していただいたCRCさんと予定を合わせ、受診することにしました。
受診日までに問診票を書いたり、これまでの検査結果を集めたりして漏れが無いよう準備。
また、医師やCRCさんに把握していただきやすいよう、これまでの治療歴や流産歴をエクセルで作成しプリントしておきました。
そしてようやく、治験を行う都内の病院へ初受診することになります。
次回に続きます。