前回の記事の続きです。
不妊治療で通院している恵愛医院の紹介状を持って、夫と一緒に治験を行う都内の病院を受診しました。
まず不育症外来を受診して治験の責任医師の診察を受け、その後CRCさんから治験についての説明を聞きました。
不育症の研究や治療で有名なこちらの先生との出逢いは、今でも鮮明に覚えています。
緊張しながら診察室に入ると、これまでの辛い経験全てを受け止めてくれるような寛大なオーラと、安心感のある暖かな笑顔で迎えてくれました。
持参した過去の検査結果と一緒に、エクセルにまとめた過去の治療歴・流産歴のデータもお渡ししました。
問診票と共にこれらにもひと通り目を通していただいた後、内診室へ。
エコーの結果、特に子宮に異常は見られないとのこと。
以前受診した杉ウィメンズクリニックでも異常無しと言われていましたが、今回も同じ診断で安心しました。
再び診察室へ戻り、先生のお話を聞きました。
これまでの検査結果を見たところ、不育症に必要な検査はほぼ済んでいるとのこと。
既に杉ウィメンズクリニックと、現在通院している恵愛医院との2カ所で不育症検査を行っていたので、そう言われるだろうと思っていました。
さらに先生は新しい情報を教えてくれました。
最近流産の原因のひとつとして、子宮内膜炎が注目されているそうです。
子宮鏡を行い、組織を取って調べる検査で診断できるとのこと。
ただ、私の場合は比較的妊娠週数が進んでから流産になるのが多いことから、可能性が低そうと言われました。
あえて検査する必要は無さそうです。
意外だったのが、20歳の時に行った腹膜炎の手術に触れられたことです。
当時の年齢や長い年月が経っていることから、これが原因の可能性も低そうとのこと。
これまで3ヶ所のクリニックで流産を経験しましたが、腹膜炎の手術との関係を言われたのが初めてだったので、そういう可能性もあったのかと逆に驚きました。
そして不育症の治験について。
私はすでに不育症の治療でバイアスピリンとヘパリン注射を行なっていたため、これ以上の治療法は無く、治験に参加するというのは良い選択だと言われました。
着床後したら一度早めに受診するように、とのこと。(着床して胎嚢が確認できてからでないと、治験には登録ができません。)
先生が話終わった後、隣でずっと黙って聞いていた夫が、口を開きました。
「これまでに8回も流産しているんですが…。出産までたどり着ける可能性はあるんでしょうか。」
先生は穏やかな表情を浮かべて答えてくれました。
「何度も流産して辛かったでしょうね。でも同じように流産を繰り返す人はたくさんいます。」
そして、何とも心強い言葉が続きました。
「これまで多くの患者さんを診てきましたが、あなたと同じぐらいの年齢で不育症と診断された方で、出産できなかった方は一人もいませんよ。」
流産の手術が終わったあと、治験に参加しようと決めてここまで突っ走って来ましたが、正直出産への期待は少しずつ薄れていました。
やれるだけやってみようと思っていたものの、結局同じ結果に終わるのではないか、私が出産できる日は来ないのではないか…。
心のどこかでそう感じていました。
でも、先生の思いがけない言葉を聞いて、心がパーッと明るくなり、涙が出そうになりました。
嬉しくて涙が出そうになるなんて、いつぶりだろう…。
先生にお礼を言って診察室を出たあと、待合室に座り、夫と目を合わせました。
何も言わなくても自分と同じ感情が込み上げていることが伝わってきました。
『 私たち、まだ希望がもてるんだ!!』