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前回の記事の続きです。
先生の診察の後、CRCさんから治験についての説明を聞きました。
専用の冊子をいただき、その内容に沿って説明が進められました。
私が受けようとしている不育症の治験は
『 人免疫グロブリンGB-0998を用いた第Ⅲ相臨床試験 』
人免疫グロブリンは、既に世の中で医薬品として他の病気に使用されています。
今回の治験で不育症に対しての有効性や安全性が認められ、国の審査で承認されると、不育症にも薬として使用できるようになるのです。
※福岡大学病院 臨床研究支援センターHPより
今回は、その治験の概要について書いてみたいと思います。
治験の方法
この治験では二重盲検比較法という方法が用いられています。
以前記事にも書きましたが、GB-0998と生理食塩液(薬として作用が無いもの)のどちらか一方を点滴する、という方法です。
GB-0998にあたる確率は50%であり、患者さんはもちろん、医師やCRC、製薬会社のスタッフすら試験が全て終了するまでどちらが投与されたかわからないようになっています。
プラセボ効果や観察者バイアスの影響を防ぐためにこの方法が使われます。
これだけ聞くと、“大変な思いをして治験を受けるのに、生理食塩液に当たったら残念すぎる”と思われるかもしれません。
確かにその通りです。
しかし、この治験に参加しても流産になってしまった場合、希望すると次の妊娠では一般臨床試験に参加することができ、全員にGB-0998を投与してもらえるそうです。(まだ治験が行われている場合に限る)
二重盲検で投与されたのがGB-0998か生理食塩液だったかは問われません。
この条件があったからこそ、私は治験参加に踏み切ることができたのです。
治験の流れ
無事着床し胎嚢が確認できたら、5w6dまでに受診して治験に登録します。
そして6w6dまでに入院し、治験薬の点滴の投与を開始します。
治験薬は5日連続で投与されます。
治験薬の投与量は体重によって決められるため、登録直前に体重を量ります。
治験薬投与開始1週間後に採尿や採血、超音波検査を行うため、8日間入院することになります。
退院後は妊娠8週、12週、16週…と定期的に受診し、採尿や採血、超音波検査をスケジュールに沿って行います。
治験のための通院は4週毎ですが、妊娠の状態によっては2週毎に受診を指示されるケースも多いようです。
副作用について
冊子には、GB-0998の重大な副作用とその他の副作用が分かれて記載されていましたが、頻度の高い副作用は肝機能異常ぐらいでした。
一番気になっていた胎児への影響ですが、これまで人免疫グロブリンを投与して産まれた赤ちゃんの先天異常は、投与していない通常の妊娠の場合と比べて頻度に差がないようです。
治験の中止について
被験者が中止を希望すれば、同意した後でもいつでも止めることができます。
また、健康上の問題が生じた場合などに、医師から中止の指示が出ることがあります。
費用について
治験に同意した日から治験薬投与1週間後までに行った全ての検査と入院基本料は製薬会社が負担してくれます。
診察料や食事代は自己負担となります。
退院後の通院では、受診のたびに1万円頂くことができます。
実際は治験の回数よりも受診回数が増えることが多いようですが、治験以外で受診する場合は自己負担となります。
ちなみに、私は他県に住んでいるのですが、1万円あれば夫に車をレンタルしてもらって通院できる♪とか甘い考えをもっていました…。
現状は、切迫早産で毎週通院。
しかも夫が休みをとれない日はタクシーを使うので出費が多く、月1回の1万円は少しの足しにしかなりません。
私が一番気になっていた赤ちゃんへのリスクですが、免疫グロブリンによる明らかな影響はこの時点で出ていないとわかり、ほっとしました。
とはいえ、もともと不育症に対してはまだ未承認の薬。
データの分母が少ない分、まだ知られていない影響が出ないとも限りません。
だからといって、治験を躊躇する気持ちにはなりませんでした。
このまま今まで通り移植を続けていても、何も変わらない気がしたのです。
夫は私に起こり得る副作用の項目に、ひたすら目を通していました。
免疫グロブリンが既に別の病気に使用されていること、頻度が高い副作用があまりないことから、少し安心したようでした。
前回の記事にも書いたように、治験の登録は妊娠して胎嚢が見えてからでないと行えません。
そのため、この日は『参加基準事前確認のための同意書』にサインをして帰りました。
実際に登録する日までに、私が基準に適合するかどうかをCRCさんによって詳細にチェックしてもらうためです。
*CRCの仕事と治験への参加基準についてはこちらをご覧ください↓↓↓
この同意書にサインしてからすぐに妊娠する人もいれば、しばらく妊娠せずになかなか治験を受けれない人もいるんだろうな。
“ 私は前者になれますように ”
次にここに来る日が近いことを願って、病院を後にしました。