*ひだまり妊活日記*

*ひだまり妊活日記*

不妊症&不育症治療と8度の流産を乗り越えた七転八起な日々の記録

治療を続けるかどうか

 

 

7回目の稽留流産の記録の続きです。

 

8w1dに流産と宣告され、自然に流れるのを待つことになりました。


ホルモン補充を止めると、早くて2~3日で出血してくると言われたので、日曜・祝日明けの火曜、水曜だけ仕事を休ませていただき、その後は経過次第で判断することになりました。

 


実際にホルモン剤を中止して3日後には出血が始まり、生理痛程度に痛くなってきたかと思うと、塊がポコッと出てきました。


最初に通院したクリニックで流産になった時も、今回同様に自然に出るのを待ったのですが、その時とは比べ物にならないぐらい軽く終わりました。


出てきた塊が小さかったので、胎嚢がまだ子宮内に残ってるかもと思いましたが、その後出血は減る一方。

それ以降に胎嚢が出てくる気配はありませんでした。

 

 

 

流産と言われてからちょうど一週間後、経過確認のために受診しました。


内診の結果、もう胎嚢は見えないとのこと。

ちゃんと出てくれたんだと安心しました。

 


その後診察室に呼ばれ、先生からお話がありました。

子宮の状態が良いので、次に生理がきたら移植周期に入れるとのこと。

 

また、流産を繰り返すことについて。

流産を繰り返すことにより、妊娠しづらくなるということはない。

ただ、体質的に流産しやすいのは事実なので、今後も流産が続く可能性は高い。

これ以上の方法は他になく、妊娠するためには移植を続けていくしかない、とのこと。

以前友人が他院で行なって成功した、夫リンパ球移植療法について聞いてみましたが、有効性が疑問視されているのと副作用が多いという点からお勧めしていないとのこと。

こちらの医院では行なっていないようでした。

 


「治療を続けていくかどうか、夫婦でしっかり話し合ってみてください。」

 

そう言われ、今後も流産が続くことによほど覚悟を持たないといけないのだ、と感じました。


もちろん先生は、突き放したくて言ったわけではありません。

先生ご夫婦も不妊治療や流産の経験者です。

私のおかれた状況で生じる精神的な負担を、痛いほど理解してくれていたのだと思います。

 

 

帰宅後、先生に言われたことを夫に伝え、今後について話しました。

「一度休憩してみるか?」

夫が予想通りの提案を口にしました。

でも、期間を空けたところで成功する保証は無いし、休んでいる間に歳をとるという別の不安も出てきます。


夫と話しているうちに、自分はまだ治療を続けたいのだと気づきました。

今後の移植で2個ずつ戻せば成功する確率は上がるはずだし、とりあえず今残っている凍結胚が無くなるまでは移植を続けてみようという結論に至りました。

 


この頃から、“自分の経験をいつか何かに活かしたい”と思うようになりました。

ネットで検索しても、自分ほど流産を繰り返した方の記事は少なく、あまり情報を得ることができませんでした。

でも、私は前クリニックの先生に20回以上流産した結果成功した方の話を聞いていたので、ネガティブになった時にその事実を思い出すと、自分も頑張ろう!と前を向くことができました。

その話を聞いていなかったら…お先真っ暗だったかもしれません。


そして今度は自分の経験が、自分と同じように辛い思いをしている人の励みになればいいなぁと思うようになったのです。

 

“いつか誰かに流産を繰り返しても出産できるんだと希望を持ってもらうためにも、今は流産を恐れず治療を続けよう!”

そんな新しい目標ができました。

 

治療を始めた当初のような悲劇のヒロインは、もう自分の中には存在しませんでした。

 

 


次の生理がきて受診してみると、流産の影響で卵巣が腫れていて、移植は一周期見送ることになりました。

特に不調は感じなかったし、初めてのことで戸惑いましたが、仕方ありません。


ちょうど8月のお盆に差しかかる頃。


妹の初盆のために実家に帰る予定でした。

体調を気にせずに帰れることが、少し嬉しく感じました。


そして、めちゃくちゃ暑い季節ではありますが…。

またバスケやヨガを再開して、翌月の移植周期に向けて身体も心もリフレッシュしようと思いました。

 

 

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7回目の着床→稽留流産

 

 

BT10

いよいよ判定日。

土曜日だったので夫と一緒に受診。

採血して結果を待つ時間は、何度経験しても落ち着かず。

“体調変化もあったし、きっと大丈夫…”

そう思いつつも不安は拭えません。

 


診察室に呼ばれ、採血結果を見ると、


『 hCG  194.2 』


第一関門クリア!

100以上あれば順調らしいので、ひと安心しました。


先月行った不育症の検査結果では大きな問題は無かったのですが、流産を繰り返しているためヘパリン注射を使うかどうか検討しておくようにと先生に言われていました。

先生としてはバイアスピリンだけで充分とのことでしたが、やはり何か流産対策を加えたいと思い、夫と相談して今回試してみることにしました。

その旨を先生に伝えると、快く承諾してくださいました。

出産直前まで続けるのが一般的だそうですが、妊娠16週頃には胎盤ができてくるので、その頃に中止してもいいかもしれないとのこと。

また、ヘパリンの副作用で肝機能障害が起こる可能性があり、定期的に採血してチェックしていくそうです。

 


ヘパリンカルシウム皮下注 5千単位/0.2mLシリンジ「モチダ」

 

  • 1回使い切りのタイプ
  • 1日2回、12時間毎に使用
  • 入浴前後1時間は避ける
  • 針を取り付け気泡を抜き、注射部位を消毒して30°~45°の角度で刺す。
  • 皮下注射なので、お腹や太もも、お尻、上腕などに注射が可能。
  • 患部が痣になったり硬くなりやすいので、毎回注射部位をずらす。

 

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BT17/5w1d

一週間後の土曜。

内診にて、無事5.3mmの胎嚢を確認。

hCGは3278.0としっかり上昇していました。

週数的に胎嚢が小さめで不安になりましたが、 今回は確認できただけでOKと思うようにしました。


ヘパリンの注射で予想以上に痣ができやすく、使用していくうちに色んな部位が殴られたような状態に…。

看護師さんに相談すると、打った後に3~5分ぐらいは押さえておくようにと言われました。

 

 

BT24/6w1d

胎嚢は成長していたものの、8.1mmとかなり小さめ。

卵黄嚢は見えたけれど、心拍は確認できず。

先生に「胎嚢、小さいですよね?」と質問してみると、この時期これぐらいあれば大丈夫とのこと。

私の不安を察してくれたのか、診察室でさらに説明をしてくれました。

「胎嚢は水風船のような状態なので、エコーの押し具合で形が変わります。角度によっても大きさや形が違って見えるし、あまり気にしなくて大丈夫です。」


今の時点で落ち込んだり心配しても、結果は変わらないはず。

とりあえず一週間はリラックスして過ごそうと思いました。

 

 

BT31/7w1d

先週のこともあり、いつも以上に緊張しながら受診。

エコーの結果、心拍が確認できました!

今回は胎嚢の大きさは測らず、2.1mmの胎芽が見えました。

これまた小さい…。

でも前回と比べて成長しているし、心拍も見えたので、赤ちゃんを信じよう!と前向きになりました。


先生が注意深く見ていたのが、子宮内の出血。

よく起こることらしいですが、量が多めとのこと。

「赤ちゃんに影響はないけれど、血が外に出てくるかもしれません。少量なら問題ないですが、心配なら受診してください。」と言われました。

エコーでは全然わからなかったので驚きました。

以前に進行流産を経験しているため、慎重に過ごそうと思いました。


最後に、前回行った採血結果を確認。

ヘパリンの坑凝固作用はしっかり現れているとのこと。

副作用の方は、肝機能が少し高め。

リスクが高いわけでは無いようで、期間を空けてまた採血するそうです。

 

 

BT38/8w1d

そして一週間後の土曜。

この日は二度目の心拍確認予定。 

…だったのですが。


エコーの間、先生の無言が続き、嫌な予感がしました。


「ほとんど成長しておらず、心拍も見えないですね…。」

 

“あぁぁー、まただ…。”


ショックな反面、妙に納得している自分がいました。

着床してからずっとずっと、成長が遅いことに不安を感じていたからです。

“やっぱりな…”と、すぐに事実を受け止めました。


診察室で詳しく話を聞くと、前回の受診から2~3日後に成長が止まった可能性が高い、とのこと。

成長具合から見て、今回は卵が原因だろうと言われました。

移植したのは評価の良い胚盤胞だったのですが、染色体異常とは関係ないようです。

良好な胚盤胞からダウン症の子が産まれることも多いそう。

(関連性を調べた研究はあるようですが、胚盤胞の形態的評価だけでは染色体異常を判断できないようです。そのため着床前診断の適応拡大を訴える声が高まっているようです。)

ただ、私のような不育症の場合、移植した卵の染色体異常を見極める力が弱いため、普通なら着床しない卵も着床させてしまいやすいのだとか。

なるほど!

だから私は『着床率が高い→流産率も高い』となるのか。


さらに先生から、夫婦の染色体検査について再度提案されました。

もしどちらかに異常があったとしても治療法はないし、原因があった方が自分を責めてしまう気がして、私たちはあえて検査していませんでした。

でも流産の原因を探るためにも、検査した方がいいかもしれないと考えが変わってきました。

 


また、もう一つ先生から提案。

高齢(35才以上)の場合または2回以上妊娠が成立しなかった場合、次回から胚を2個同時に移植できるとのこと。

そうすることで、もし片方が流産になっても、もう片方はそのまま妊娠継続して出産に至る可能性を期待できるのです。

この方法により、流産を繰り返すことによる身体的・精神的負担が減らせるかもしれません。

ただし、もちろん双子が産まれる可能性もあるとのこと。


2個戻しは考えたことが無かったのですが、ぜひ試してみたいと思いました。

 

 


今回は胎嚢が小さいこともあり、手術せず自然に流れるのを待つことになりました。

 


この日は特に混雑する土曜日。

たくさんの患者さんが待つ中、先生は急ぐことなく、私たちの心と向き合ってくれました。

説明の合間に

「これだけ流産を繰り返しているので、なんとかしてあげたい…」とか、

「精神的に参ってしまわないか心配。」とか、

あたたかい言葉をかけてくれました。

 

 

流産は何度経験しても辛いですが…。


“この先生のもとで治療を続けたい!”


そう強く感じました。

 

 

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恵愛生殖医療医院にて2回目の移植(計10回目)

 

 

一ヶ月のおやすみ周期を挟み、再び移植周期に入ることになりました。


同時に不育症の検査も行う予定です。

 


私は以前、新横浜の杉ウィメンズクリニックで不育症の検査を行いました。

その結果、2項目が基準値ぎりぎりの数値だったため、バイアスピリンを処方され、移植周期には毎回飲むようになりました。

それから2年が経過しましたが、変わらず流産を繰り返すため、恵愛医院で再検査をすることに決めたのです。

 


*杉ウィメンズクリニックでの不育症検査についてはこちら↓↓↓

 


D3に受診した際、移植にむけて行う内診や採血と同時に、不育症検査の採血も行いました。

エコーでは子宮や卵巣の状態は良く、ホルモン値も問題ないとのことでした。

 

 

今回も凍結胚盤胞を移植するため、ホルモン補充療法を行います。

病院の考え方にもよりますが、妊娠成立後も妊娠を維持するため、妊娠7週~9週頃まで続けることになります。

 

まずエストロゲン(卵胞ホルモン)製剤を使用。

内膜が充分な厚さに育ちエストロゲンの数値も上がってきたら、排卵日を設定し、その日からプロゲステロン(黄体ホルモン)製剤を追加します。

凍結胚は5日目胚なので、排卵日と仮定した日から5日後に移植します。

 

D3:エストラーナテープ開始

スケジュールに沿って初日は右側に、2日目は左側に1枚貼付。

貼付後1日置きに貼り替え。(常に計2枚貼った状態となる。)

D6:テープを2枚ずつに増やす(計4枚)

D8:テープを3枚ずつに増やす(計6枚)

D10:受診  内膜とホルモン値を確認

テープを4枚ずつに増やす(計8枚)

D12:テープを2枚ずつに減らす(計4枚)

ルトラール錠とウトロゲスタン膣錠を追加

D17:移植

 

 

D10に受診した時点で内膜は9.3mm。

E2も 583.4と順調なので予定通り移植できるとのこと。

スケジュール通りD12からテープを減らし、黄体ホルモンを使用することになりました。

 

前回はなかなか内膜が厚くならず、移植が予定よりも遅くなってしまったため、今回もそうなるのではと不安でした。

しかし、今回はテープがしっかりと効いてくれたようで良かったです。


また、前回行った不育症検査の結果が、既に届いていました。

結果は『大きな異常は無し』 

しいて言うなら凝固因子活性Ⅻが少し低めだが、基準値内とのこと。(←杉ウィメンズCLでも同様の指摘あり)

先生から「バイアスピリンを飲めば充分カバーできるので、ヘパリンを使う必要はない。」と言われました。

どうしても使いたいなら妊娠16週頃まで処方することもできるけれど、毎日の注射の負担や費用もかかるため、一度考えてみてくださいとのことでした。


検査結果に異常が無くて嬉しい気持ちと、ヘパリンを使う必要性がなくて残念な気持ちが入り混じり、複雑な心境でした。

流産の原因がわかり予防を行うことができれば、着床後も安心して過ごせるような気がしていたのに…。


ヘパリンはバイアスピリンと異なり、妊娠確定後から開始となるそうです。

ヘパリンを処方してもらうかどうか、妊娠判定日までじっくり考えてみることにしました。

 

 


移植当日。

まずは診察室へ呼ばれ、先生から移植する胚盤胞についての説明を聞きました。

移植するのは4BA:5日目胚(Eeva:ES-2)。

卵は融解後に広がり、良い状態とのこと。

前回はこの段階で収縮していると言われたので今回も心配でしたが、ひと安心でした。


移植後の妊娠判定は、仕事が休みの土曜日(BT10)に受診することになりました。

 

 

移植は前回と同じ流れで進められました。

担当が院長先生に変わってから初めての移植でしたが、移植時の痛みは前回ほどありませんでした。

院長先生の日頃の内診が丁寧で安心感があったので、移植の際もリラックスできたのかもしれません。

移植後に先生から「良い位置に移植できましたよ」と言われ、嬉しくなりました。

 

その後、一時間ほど眠りました。

前回の教訓で、しっかりと食事をしてから受診したので、今回は空腹で目覚めることなく熟睡できました。

 

 


判定日まであまり意識しないよう過ごすつもりでしたが、やはりちょっとした体調変化でも敏感になってしまいました。

BT5まで感じていた熱っぽさが急に無くなって不安になったり、前回のような胸の張りがほとんど無くてネガティブになったり…。

逆に、眠気や気持ち悪さを感じると、“お!これはいけるんじゃないか?”と急にポジティブになったり…。


なかなか平常心を保つのは難しいものです。


勤務時間中は仕事に専念できるので、その点においても仕事を始めて良かったなぁと感じました。

 

 

判定日以降は次回に続きます。

 

 

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お義父さんの野菜と子育て

 

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夫の父は農業をやっています。

もともと農家なわけではなく、会社を定年退職したあと、農業学校に通って勉強したと聞いています。


夫の実家の近くには大きな畑があり、驚くほどの種類の野菜が毎年収穫されます。

 

特に夏野菜は、みずみずしくて張りがあって、どれも絶品です!


なす、きゅうり、ズッキーニ、トマト、ピーマン、オクラ、とうもろこし…


毎年我が家にも届く新鮮な野菜たち。

色鮮やかで、視覚でも楽しめます。


料理がさほど得意ではない私も、この野菜が届くと「どんな風に料理しよう🎵」と心が弾みます。

 

 

野菜って、スーパーや八百屋で簡単に安く買えるけれど、実はそこに並ぶまでにたくさんの努力と時間が費やされています。


素人の私が知るだけでも、土作りから植え付け、除草や害虫対策に収穫。

さらには毎日欠かさず行う水やり、収穫した野菜の出荷準備…。

そうした工程を経て、数ヶ月かけてやっと一種類の野菜が収穫されるのです。

 


農業は会社とは違い、お休みもありません。


真夏の猛暑の日も、大雨の日も、

腰が痛い日も、気分が乗らない日も、

休むわけにはいかないのです。


想像しただけでも大変です。


毎年GWには私たち夫婦も畑に行き、お義父さんのお手伝いをさせてもらうのですが、数時間滞在しても苗植えと収穫が少し進むだけ。


どうやってこんなにたくさんの種類を一人で育てているのかと、いつも驚きます。

 

 

でも、「会社員の頃と比べてお義父さんは楽しそう」と夫は言います。


自分の手で一から野菜を育てること。

それを食べた人が、“美味しい”と感じて笑顔になること。

きっとそこに畑仕事の醍醐味があり、やりがいや感動が生まれるからこそ、毎日がんばって続けられるのだと思います。

 

 


“野菜作りって、子育てに似てる気がする。”


ふとそう感じたことがあります。

 

毎日絶やさず愛情をたっぷり注ぎ、

時には思い通りにいかなくて頭を悩ませ、

成長を見た時には感動させられる。


まだ子育てを経験したことがない私がそう感じたのは、きっとお義父さんの姿を見ていたから。

 

 

去年の初夏、夫から

「ベランダで野菜を育ててみない?」

と突然の提案。


夫も私と同じように感じていたのかと驚きました。

なかなか治療が成功せず、変わりばえのない夫婦ふたりの生活に、変化をつけようと考えてくれたのかもしれません。


すぐに苗を買いに行きましたが、時期が遅くて、育てられそうなのは秋なすときゅうりだけ。

お店の人に必要なものを聞いて買い揃え、その日から野菜作りをスタート。

 

ベランダの陽が当たる場所に置き、毎日欠かさず水やりをしましたが、ある時葉っぱに変な模様が…!!

必死で調べ、お義父さんやお店の人に聞き、病気や虫対策を行いました。

 


結果、収穫できたのは…

なすもきゅうりも2、3個だけ。

『野菜を育てる』というのがどれだけ大変か、身をもって実感。

 

それでも、夫とふたりで野菜の成長を楽しむ過程は、本当に楽しかったです。

 

 

「大きくなってるね~!」

ベランダを見るたびに、そう口にする夫。

細い目がさらに細くなり、自然と浮かぶ柔らかい笑顔。


“きっといいパパになるんだろうな。”


夫との子供がほしいという気持ちが、より一層強まりました。

 

治療は辛いけれど、まだまだがんばろう!


そう感じた夏の終わりのひとときでした。

 

 

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憧れの女性

 

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私が今の会社に採用された時、面接してくれたのは人事部の部長でした。

不妊治療をしているため、急な早退や欠勤が出ることを理解していただいた上で、採用してくれたのです。


ただ、実際に一緒に働くのは、その部長ではありません。

女性スタッフが多い職種なだけに、そこは慎重になりたいところ。

直属の上司に休みを申請しづらかったり、同僚にいちいち嫌な顔をされたりしてストレスが溜まるようでは、本末転倒です。

面接に同行してくれた仲介会社の方を通して、実際に一緒に働く方の意見も聞いてみてほしいと伝えました。


後日、「スタッフたちも承知しています」というありがたい返答をいただいたのですが、出勤日を迎えるまでは心配でたまりませんでした。

 

*この職場に出会うまでの経緯はこちらの記事をご覧ください↓↓↓

 


一緒に働くのは自分も含めて女性5人。

その中で、自分と同じ資格を持ち、一番身近で働くことになったのが2つ年上の上司Aさん。(職場の責任者のような立場)

私が働く一ヶ月前に入社されたそうです。

面接の際には挨拶程度で終わったので、私の治療についてどう思われているのか気になっていました。


話してみると、サバサバした方で、よくしゃべり、よく笑う人。

明るく元気でとても好印象でした。

なんと、双子の男の子のママだそう。

妙に納得!!

男の子を2人同時に育てるには、これぐらいのパワーが必要なのかも!笑


初日から色々な話をしているうちに、私の不妊治療の話題になりました。

これまでの治療や流産のこと。

今後の通院のこと。

面接でひと通り話した内容を、再び包み隠さず打ち明けました。

「急にお休みをいただいたりすると思うので、ご迷惑をおかけします。」と伝えると、

「大丈夫だよ!それが条件で入社したんでしょ?!だったら遠慮なく休みなよ。」

「女性って色々大変だよね。これまでも仕事頑張ってきたんだから、今は治療を優先しないと!そのために早く帰れるパートを選んだんだしね。」

「私も子供が体壊したら休んだりするし、お互い様だね!」


一言一言に感動しました。

治療を優先すると割り切って入社したのに、今後迷惑をかけると思うとすぐに自分を卑下してしまう弱い私。

そんな私に対して全く動じることなく、ひとりの女性の生き方として受け止めてくれたのです。

 


実際に働いてみて、Aさんとはとても気が合いました。

私はもともと男性っぽいところがあるようで(←夫や友人に言われる)、女性特有の「誰かと一緒じゃないとできない」とか「話に入れてもらえないと不満」とか、そういう感覚があまりありません。

そういうところが、サバサバしたAさんと性格的に合ったのかもしれません。

 

Aさんは上司ですが、細かく指示を出すことはなく、私たちと対等な立場で一緒に仕事を進めていくタイプ。

そのため、時には私に意見を求めてくれたり、私から提案したりしました。

治療のことがコンプレックスで、以前は自信を持って働けなかった私が、Aさんのお陰で少しずつ変わることができました。

 


Aさんは時々、自分の子供の話をしたり、自分の妊娠や出産の話も聞かせてくれました。

もちろん自慢ではなく、等身大の自分をさらけ出してくれたのです。

そして、経験者ですら理解しづらい高度不妊治療の内容や具体的な体調変化も、詳しく知ろうとしてくれました。

採卵や移植のたびに報告していましたが、「今はどんな状態?辛かったら無理しないでよー。」と、声をかけてくれました。


私が双子を妊娠した時は、自分と同じだと驚き感動して、涙を流し…。

流産になった時は、何も聞かずに私の気持ちに寄り添い、フォローしながら仕事をしてくれました。

 

Aさん自身、体調が悪かったり、子育てで疲れている日だってあるはずなのに…。

私が治療している期間は負担をかけまいと、絶対に弱音を吐きませんでした。

 

 

 

もし私がAさんの立場だったら、同じようにできただろうか…。


きっとできません。


不妊治療という、自分にとって未知な世界で奮闘しているスタッフに対して、できることといえば…。

せいぜい体調を気遣ったり、妊娠の話題に触れないようにすることぐらい。

むしろ、とてつもなく忙しい日に急に休まれたら困ってしまうかもしれません。

 

 

しかしAさんは、常に私のことを自分自身のことのように考えてくれていました。

だからこそ、ここまで一緒に頑張って戦ってくれたのだと思います。


また、他人の痛みや悩みを理解し、心で感じることができる人でもあります。

明るくサバサバした様子からは考えられないけれど、Aさん自身、人と会いたくなかったり心が暗くなっていた時期もあるそうです。

ご自身が辛い経験をされている分、同じような立場の人に心から寄り添うことができるのだと感じました。

 

 


入社して一年半頃、私は無事に妊娠しました。

しかし切迫早産と診断され休職することになり、もうすぐ3ヶ月が経ちます。

仕事の負担を背負いながらも、Aさんはたまに「体調はどう?」とメールをくれます。


休日には、買い物に出られない私のために、お古のベビー用品や購入した赤ちゃんのおしりふきなどを届けに来てくれました。

 

今月から、私の代わりに新しいスタッフが採用されたようですが、「育休開けたらまた一緒に働こう!人数が多くなっても大丈夫。上には私から掛け合うからさ!」と、なんとも心強いメッセージが。

 

 

たまたま条件が合って入社したこの職場で、こんなに素晴らしい人と出会えるとは思ってもみませんでした。

私にとってAさんは、上司でもあり、家族でもあり、憧れの存在でもあり…心強い味方です。

 

 

無事に出産したら、誰より早く赤ちゃんに会ってほしい。

そして、また一緒に働き、いつか恩返しができたらなぁと思っています。

 

 

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流産後の経過

 

 

流産の手術後、2週間以上も出血が続きました。

手術前に先生から「出血量が多くなるかもしれない」と聞いていたので、術後に大量に出るのかと思っていたけれど、実際はだらだらと長期間続きました。

 

 

出血が終わって少しした頃、術後の経過を診てもらうために受診しました。

これまで担当だった若い男性医師が退職されたので、この日から院長先生が私の担当になってくださいました。

 


話はそれますが…

院長先生は、ご自身と奥様も高度不妊治療や流産を経験されています。

そのため、患者が感じる治療の辛さや心の痛みを誰よりも理解し、受け止めてくれます。

悪い結果だった時も、診察室で先生と話すことで何度も救われてきました。

無事に卒業することができたのも、この先生のおかげだと思っています。

 

 

話を戻して、内診の結果です。

術後の経過は特に異常なしとのこと。

排卵前の卵胞が見えたので、明日か明後日には排卵するだろうと言われました。


そして、不育症の検査について。

2年ほど前に、杉ウィメンズクリニックで不育症の検査を受けていますが、今回の流産が確定した時から再検査の話が出ていました。

この検査はhCGがしっかりと下がった状態でないと正確な結果が出ないそうです。

また、生理中の方がベターとのこと。

できれば次の移植をする前に検査をしたいと伝えると、次の生理が来たら不育症の検査を行い、その次の生理から移植周期に入ることになりました。

 

 

現在の医療において、不育症治療はアスピリンとヘパリン注射しか確立した治療法がないそうです。

ネットの書き込みによると、ヘパリン注射は「妊娠中に毎日続けなければいけないので大変」とか「費用が自費なので高い」という声が多く、以前はできれば使いたくないと思っていました。

しかしここまで流産を繰り返すと、可能性がある治療は全て試してみたいと思うようになっていました。

 

 


次の生理は、予想外に随分早く来てしまいました。

hCGがしっかり下がってないと、受診しても不育症の検査ができないかもしれないと思い、医院に電話で聞いてみました。

看護師さんが先生に確認してくれたところ、今回は手術したため、自然に流産する場合と比べてhCGが下がるのは速いはずなので、検査は可能とのこと。


ただ、次回の生理が来てからでも間に合うと言われました。

不育症の検査の結果へパリンを使うことになったとしても、開始するのは妊娠が確定してからだそうです。(バイアスピリンは移植前から開始)

次周期の生理中に採血して検査に出せば、移植して妊娠判定が出るまでの3~4週間の間には結果が届くので、その周期からヘパリンを使うことは可能というお話でした。


それならわざわざ今回受診することはないと思い、次回の生理まで待つことにしました。

 

 


年明けから移植周期に入り、妊娠し、妹が亡くなり、お葬式、流産の手術、妹の四十九日…。

あっという間に月日が流れ、気がつくと4月も終わり。


流産の手術をした後から、なぜか妹がいなくなった悲しみがどんどん強まりました。

妹が亡くなった時、私のお腹には守るべき命があり、それが自分を強く保ってくれていたのだと思います。

2人の赤ちゃんがお腹からいなくなった途端に、妹のいない消失感にも同時に襲われ、なかなか立ち直れないでいました。


しかし、こんな気持ちでは次の移植もうまくいくはずがない…。


ちょうど一年で一番好きな春の季節。

一ヶ月のおやすみ期間で、心も身体もリフレッシュしよう!と決めました。


そして、以前から義母に勧められていたヨガを始め、毎週通いました。

また、自宅から通いやすい距離で新たにバスケのチームを探し、参加し始めました。


それ以外でも、夫と花見に行ったりキャンプに行ったり…


妊娠していたらできなかった色々な体験をすることで、ようやく少しずつ自分を取り戻していきました。

 

 

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2回目の流産手術*ばいばい双子ちゃん

 

 

*流産の手術の内容です。閲覧注意お願いします。

 

 

流産と宣告されてから3日後、手術前日に受診しました。

この日は担当医による診察でした。

 

エコーしたところ、やはり心拍は確認できず。

心拍が復活することは無いとわかっていたので、冷静に受け止めました。

2人の赤ちゃんの大きさには差がありました。

前回の記事に書いたように、片方の心拍が先に止まり、もう片方が栄養過多になった結果だと思います。

 

恐れていた子宮口を開く処置は、ラミナリアという子宮頸管拡張材を使って行われました。

これを子宮口に入れると水分を吸って徐々に膨らみ、翌日の手術の時点までに子宮口が開く、という仕組みです。

この処置により手術が行いやすくなります。

 

今回は双子であり、胎児の大きさもこれまでより大きかったので、できればこの処置をした方がいいのだろうとわかっていました。

頑張って痛みに耐えようと思ったのですが…

 

案の定、激痛!!!(泣)

 

先生はしばらくそのまま続けましたが、私が内診台で暴れ出したので、諦めてくれました。

申し訳ないと思ったけれど…耐えられませんでした。

 

 

その後、診察室で先生とお話。

ラミナリア挿入はできなかったけれど、当日麻酔してからでも子宮口を開けるので大丈夫です、と言ってくださいました。

双子だったので、手術後の出血量は多いかもしれないとのこと。

胎児の染色体検査はしない予定でしたが、念のため先生の意見を聞いてみました。

やはり検査しても今回の流産の原因しかわからないので、しなくていいとのこと。

それより、まずは夫婦の染色体検査を考えてみてくださいと言われました。

これだけ流産しているのだから、さすがにそろそろ夫婦の検査を受けるべきなんだろうな…。

最後に先生が、「何回か流産しても最終的にうまくいく人の方が多いので、がんばりましょうね。」と励ましてくれました。

妹との死別から流産と続き、精神的に参っていたため、先生の言葉に救われました。

“ここでの移植は始まったばかり。まだまだ希望は持てるんだ!”と思い直させてくれました。

 

手術後から飲む子宮収縮剤と、前日から飲む抗生剤、痛み止めを処方され、この日は終了となりました。

 

 

翌日は担当医がいないため、院長先生が手術してくれることに。

知らない先生ではなくてよかったです。

無事に手術を終えるためにも体調を整えようと思い、早めに寝ることにしました。

 

 


手術当日。

流産と言われてから数日経っていたこともあり、落ち着いた精神状態で医院へ到着。

採卵の時と同様に、安静室でガウンに着替えて準備。

しばらく待機したあと手術室へ。

いつも丁寧に接してくれる50代ぐらいの看護師さんが担当で、心強く感じました。

手術台に寝かされ、血圧計、心電図、パルスオキシメーター(血中酸素濃度&脈の測定器)をつけられ、足を固定。

看護師さんが、「手術はすぐに終わりますよ。麻酔は採卵の時と同じだから、安心してくださいね。」と声をかけてくれました。

 

もう覚悟はできていたはずのに…。

院長先生が入室されると、顔を見るなり急に涙が溢れてきました。

 

“2人ともお腹の中で苦しかったよね…。ちゃんと育ててあげれなくてごめんね…!”

 

赤ちゃんは何も悪くないのに、私のせいで産んであげれなかった悔しさ。

いつまでたっても夫をパパにしてあげられない惨めな気持ち…。

 

抑えていた心の蓋が一気に全開になったようでした。

 

看護師さんが「辛いよね…」とささやきながら、涙を拭いてくれました。

そしていつのまにか麻酔を投与され、意識が無くなりました。

 

 

意識が戻ったのは、安静室に寝かされた時でした。

手術室に入ってから既に20分経過。

思った以上に時間がかかったようでしたが、痛みは全く感じませんでした。

その後、うとうとするものの熟睡はできず。

これまでの採卵よりもひどく口が乾くのを感じながら、ベッドで過ごしました。

 

2時間後に起こされ、トイレに行き待合室へ。

 

院長は帰られたようで、内診と診察は別の医師でした。

内診では止血用のガーゼを抜き、出血確認とエコー。

大量の出血を想像していましたが、少量しかありませんでした。

エコーの結果も問題ないとのこと。

経過を見るために2週間後に再度受診するようにと言われ、終了しました。

 

 

この日は全体的に待ち時間が長く、受付してから帰るまでに5時間も経過していました。

それでも腹痛や出血はほとんどなく、思ったよりも楽に終わりほっとしました。

(後から明細書を見て気づいたのですが、点滴にソセゴンという鎮痛剤が入っていたので、痛みが少なかったのかもしれません。)

 

 

そして何より驚いたのが…

あれだけ辛かった悪阻の症状が、手術後に一気に無くなったのです!

気持ち悪くないもし、歩いてもしんどくない!

悲しいことですが…身体が楽になったことで、少しだけ心も軽くなった気がしました。

 

自分を責めているだけでは何も変わらない。

今の自分にできることをもう一度考えてから、次の移植に臨もうと思いました。

 

 

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