妊娠判定後の経過の記録の続きです。
胚盤胞を2個移植(=二卵性双生児の可能性あり)→1個だけ着床→一卵性双生児?→片方が成長ストップ?
と、予想外のことが起こりました。
前回の時点では、
「元気な胎芽とは別の場所にもう1つ胎芽のようなものが見える…が、心拍はない。一卵性双生児だった可能性が高いが、経過を見てみないとわからない。」
と先生から言われました。
前回の記事にも書きましたが、一卵性双生児は片方の成長が止まると、もう片方も流産になる可能性が高いです。
ただ、片方の成長が止まったのが早期だった場合は、もう片方だけ成長することもあり得るそう。
心拍が動いている胎芽が無事に成長していることを祈りながら、一週間を過ごしました。
BT41/8w3d
この日は金曜でしたが、夫が有給だったので、私の仕事終わりに待ち合わせて一緒に向かいました。
「せっかくの有給だから、わざわざ来なくてもいいよー」と伝えたのですが、付き添ってくれました。
前回の診察で、夫も私と同じぐらい衝撃を受けていたみたいです。
覚悟を決めて内診台に上がり、エコーをしました。
恐る恐るモニターを見ると…
今回も心拍が確認できました!
カーテンの向こうから、
「赤ちゃんは元気に動いてますね!」
と先生の明るい声。
「良かった~!!」
全身の力が抜けて、思わず声が漏れてしまいました。
ダメだった時の心の準備はしてきたつもりでしたが、それでもエコーするまで本当に怖かったのです。
ただ、今回も胎嚢は平べったいまま。
胎芽は18.9mmに成長していたけれど、狭い空間の中で窮屈そう。
初めの移植で流産になった時、胎嚢が三日月型で成長しなかったため、その時のことが頭に浮かびました。
先生に聞いてみると、赤ちゃんは隅に寄っているだけで、空いているスペースもあるとのこと。
先生はあまり気にしていない様子でした。
その後、診察室で詳しく話を聞きました。
やはり一卵性双生児だった可能性が高いとのこと。
「心拍が止まっている方はかなり小さくなってきているので、今後成長している赤ちゃんに影響することはないでしょう。」と言われ、ひと安心しました。
また、赤ちゃんの手足が動いていたけれど、胎動が見えるというのはとても良い徴候とのこと。
山は乗り越えたようですが、これまでのこともあるので、もう少し経過を見ていきましょうと言われました。
まだまだ油断できないのはわかっていましたが、一週間不安と戦って過ごしてきた分、赤ちゃんが元気に成長している喜びを2人で存分に噛みしめました。
この頃から、悪阻の症状が悪化してきました。
気持ち悪くなる時が増え、空腹になると辛いものや酸っぱいものを食べたくなりました。
通勤のバスで酔うこともたびたび。
体調と経過が必ずしも一致しないことはわかっていましたが、辛さよりも嬉しさの方が優っていました。
BT49/9w4d
一週間後の土曜日。
前回よりはリラックスして受診したのですが…。
エコーをした瞬間、嫌な予感がしました。
胎児は25mmまで成長。
しかし、胎嚢の中にパンパンに詰まっていて、動いている気配はありませんでした。
「心拍が止まってますね…。赤ちゃんに浮腫みも見られます。」
前回と打って変わって、重たく響く先生の声。
ショックと同時に、心のどこかで “やっぱりね…” と納得している自分がいました。
待合室に戻り夫に伝えると同時に、長い戦いが終わった感覚がして力が抜けました。
その後、診察室に呼ばれて先生から説明を聞きました。
2~3日前ぐらいに成長が止まったと思われる。
胎嚢は小さめだけれど、これぐらいの場合もあるのであまり関係ないと思う。
赤ちゃんの浮腫みの原因は、今の時点ではわからない。胎児水腫や心臓病だった可能性もある、とのこと。
そして今後の治療について。
不育症の予防は、今行っているバイアスピリンとヘパリン以外に確実に効果のある治療法はない、とのこと。
以前も聞いていたので、理解していました。
それ以外に行えるとしたら『着床前スクリーニング』。
着床前スクリーニングは、移植する前に胚の染色体異常の有無を調べる検査です。
流産を繰り返す場合、流産率を下げるために有用とされています。
夫婦のどちらかに染色体異常や遺伝子疾患がある場合に行われる『着床前診断』とは異なり、倫理的な観点から日本産科婦人科学会が認めていないため、国内で公に行なっている病院は少ないとのこと。
ただこの方法は、胚の染色体異常による流産は防げるかもしれませんが、母体側に問題がある場合はあまり意味がないかもしれません。
どっちにしても、これまで避けてきた夫婦の染色体検査はしておきたいと思いました。
そして最後に…
現在、不育症の治療薬の治験が行われていることを教えていただきました。
治験とは、ある薬の候補が患者さんにとって効果があるか、安全に使えるかを調べたりする試験のことです。
何段階かに分けて試験が行われるのですが、紹介された時点で行われていたのは、治験薬か生理食塩液(お薬としての作用がない)のどちらか一方の点滴を受ける試験。
治験薬にあたる確率は50%であり、患者さんはもちろん、医師や製薬会社のスタッフも試験が全て終了するまでどちらが投与されたかわからないようになっています。
治験薬を投与した場合と投与しない場合の効果や安全性を比較するために行われるようです。
治験を受けるための条件は厳しく、行なっている病院も全国で数えられる程度。
自宅から通えるかどうかも鍵になります。
こちらの医院から紹介した例はほとんど無いようで、詳しく調べていただけることになりました。
胎児がある程度の大きさまで成長していたので、3日後に手術をすることになりました。
精神的ダメージは大きかったけれど、初めて聞く『治験』という言葉に、新たな可能性を感じました。
夫も会計を待つ間、すぐにスマホで検索。
情報がみつかりざっと確認したところ、私の場合は条件に当てはまりそう。
一筋の光が見えました。
そして、私たちはすぐに動きました。
新たな希望を持つことで、流産の悲しさを消し去りたかったのです。
自家用車がない私たちは、医院から出たその足でカーシェアに寄り車をレンタル。
治験を行なっている都内の病院まで車を走らせ、病院を見学。
翌日の日曜日も、残りの2病院をまわりました。
自宅から通えるか、どんな雰囲気か…。
その時すでに、2人とも治験に対して前向きになっていました。
これで終わりじゃない!
まだ希望はある!!
成長の止まった赤ちゃんをお腹に残しながらも、期待を胸に前へ進もうと意志を固めました。